考える基礎体力 - 「不透明な時代を見抜く統計思考力」
高校時代、理系コースに進むか文系コースに進むかという選択をする必要がありました。市立高校だったんですが、公立としては珍しい制度だったかもしれません。
当時お世話になっていた先生に「僕はどっちに向いてますかねぇ?」となんとなく聞いてみたら、「アナタは文系絶対文系間違いなく文系」と太鼓判を乱れ打たれたので、いとも容易く流されて文系コースを選択したものです。
当時は理系カリキュラムにあった「確率・統計」を一度も勉強すること無く高校を卒業してしまったので、大学で経済学などを受講した時はなんじゃコリャァアとしか言えない生活を送ったのも今では良い思い出です。
いや、私が文系なのは全くその通りなので、高校時代の先生は何も間違ってなかったのですけど。
大学や仕事など、様々なシーンで統計は必要とされるツールですが、それを分かり易く基礎的な考えから教えてくれるのが、本書「不透明な時代を見抜く統計思考力」です。
統計というと、専門性が高く小難しい数式をこねくり回すようなイメージがありますが(私はそうだ)、本書ではまず基礎的な考え方を示すところからスタートし、とっかかりでつまづくことが無いよう、丁寧に説明を進めてくれます。
データを見る際の基礎的な考え方を、本書では以下のように示しています。
- 生データを見ること
- データをグラフにして確認してみること
- 専門外(直接の関心事以外)のデータも視野に入れること
「リスクにあなたは騙される」にもあった通り、私たちは様々な意図を持った多数の情報に触れることによって、いとも簡単に誤った判断を下してしまうものです。掲書では、「腹」ではなく「頭」を如何に働かせることができるかが重要になると主張されていました。
上記の基礎的な考え方に則れば、メディアや情報提供者の意図や解釈によって歪められた可能性のある見解をそのまま信じてしまう(それこそルワンダ虐殺のときのように)のではなく、まず元となったデータを自ら確認することになります。
更にそのデータを図示して自ら加工することで、内容をより把握することができますし、その他のデータを探し、比較・検討することで、多面的な情報から偏りの少ない判断を下せるようになることが期待できるでしょう。
多数のデータを関連させて見てみるというプラクティスは、「ビジネスマンのための『数字力』養成講座」でもやはり取り挙げられていましたね。
本書では、もちろん平均や標準偏差、様々な分布や相関など、統計に関する具体的なツールも紹介します。また、それらを駆使して実際のデータを分析し、流布している情報が正しいものなのか、という判断の過程を実践して見せてくれます。
興味深い様々なトピックを扱うので、途中で飽きること無く読み進めることができました。統計に苦手意識がある方にもおススメです。
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