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読み取るにはまだ若かったか… - 「自己信頼[新訳]」

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どうも、私は最近方向性を見失っている感があり、色々と考えを広げるためにネタを収集しているのです。そんな中で、Amazonでオススメされている本書を見つけたのでした。

あのオバマ大統領の座右の書で、自己啓発の祖!160年以上に渡って読み継がれている名著!ううむ、なんだか悟りが開けそうな予感が。ぽちっとな(←方向性を見失っているのである)。
そんな経緯でニヤけた箱に入って飛んできたのが、本書「自己信頼[新訳]」です。

自己信頼

本書は、アメリカの思想家であるラルフ・ウォルドー・エマソンの論文集である「Essays, First Series」に収められている一編を取り出したもので、元々1841年に出版されたそうです。エマソンの思想を端的に表している一編だそうで、現代アメリカの個人主義思想の形成に大きく影響したのだとか。
とても薄く、字も大きな本なので、読むだけなら30〜40分程度しか掛からないと思います。

私が読み取った本書の主旨は、「自己を世界の根源と繋げ、世界で唯一の存在としての意義を全うするために、根源から湧き出てくる自己の真実に耳を傾け、それにのみ忠実に従わなければならないのだ」というものです。
自分自身の考えに反して社会に迎合してはいけない、自分にとって本当に大事な真実にだけ誠実に向き合って生きていきなさい、そういうことをエマソンは訴えています。

それは分かるし、自己の考えだけに基づいた行動を全う出来る人は強靭で素晴らしいと思うのですが、個々の具体的な主張に入っていくと、私の正直な印象は「うわーすごー」というものになってしまうのでした。

個人的に印象に残っているフレーズを引用してみます。

(引用者注:遠隔地の貧民に対する慈善活動を行う人に対して。強調は引用者)
愚かな慈善家よ、君に言っておく。
私に属しているのでもなければ、私が属しているのでもない相手には、一ドル、一〇セント、いや一セントでさえ与えるのは惜しい
(中略)
恥を忍んで告白すれば、私もときには説得に負けて寄附をしてしまうことがあるが、それは邪悪な金であり、近い将来には勇気を持って、そのような誘いは断ろうと考えている。(P.22)

ここだけ抜き出すとどんな奴だよと思ってしまいますが、自分にとって本当に大事な人に対しては牢獄に入るような目にあっても施しを与える旨や、こういった寄附行為は自らの贖罪行為に過ぎず、エゴなのだといった考えが述べられます。

それはそれで見識だとは思うのですが、引用部分を読んだ後、私はしばらく笑いが止まりませんでしたよ…。個人的には「やらない善より、やる偽善」というのもあるんじゃないかなぁとか思ってしまいました。

また、以下のような部分も印象に残りました。

(引用者注:矛盾を恐れず、その時の心の声に従って行動するべきだ、という主張に繋げて。強調は引用者)
そんなことをすれば間違いなく誤解される、と思うかもしれない。では、聞こう。誤解されることはそれほど悪いことだろうか?ピタゴラスは誤解された。ソクラテスも、イエスも、ルターも、コペルニクスも、ガリレオも、ニュートンも、かつてこの世に生を受けた純粋で賢明な霊はみな誤解された。
偉大であることは、誤解されることなのだ。(P.33)

ここに挙げられた偉人は、いずれも当時のパラダイムから逸脱した思想を提案し、社会から理解されなかった天才たちです。
誤解を恐れず、自らの信念を貫いて行動すれば、きっと結果に繋がる。そういう風に私は理解して、その限りでは勇気づけられる主張だと思います。
ただ、「前提1:偉大な人はみんな誤解された」「前提2:あなたは誤解される」→「結論:あなたは偉大な人になる」は違うよなぁとか、些細なところで引っ掛かってしまうのです。

このような思想が現代のアメリカの個人主義を形成する大きな力となったのだということで、「コイツのせいで…」とか思う人が世界中に沢山居そうだと思わなくもないのですが、自分に自信が持てないときや、また自分を見つめ直すときの羅針盤のひとつとして、力強い助けになるのではないでしょうか。

まあ、前述したような揚げ足を取ったりとか、幹の主張ではなく枝葉が気になって前に進まないということは、まだまだ私は読み方が足りない、もしくは見識が足りないといったところです。

160年の間読み継がれた本ですから、じっくり取り組むつもりで、何回か読み返してみようと思います。

Written by nen

June 19th, 2009 at 11:00 P

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