広がる「者」間距離? - 「マイクロトレンド」
最近のポップスをあまり聞かなくなって久しい私ですが、ここ5~6年、超大ヒットな楽曲の話もあまり聞かない気がします。えーと、例えば「どんなときも」とか「君がいるだけで」みたいな、朝から晩まで休みなく流れてるなーみたいなやつですよ(古いよ)。
本書「マイクロトレンド」は、そのようなインフルエンザ以外の「大流行」が起き辛くなってきている事情と事例を示してくれる本です。
ちなみに上のキャラクタは塊魂の王子です。小さいカラダで大きく転がす、まさに本書にピッタリだ!(自画自賛)
ひと昔前まで、我々の情報源は、雑誌やテレビ等の限られたメディアや自分の周りにいる人間に限られていました。そのため、「正しい」と思われる振る舞いのサンプルを狭い範囲からしか得られませんでした。
本来、人間にはそれぞれ独自の好みやスタイルがあるはずなのに、情報が限られたためにそれを抑え込み、メディアや周囲に合わせなければならなかったのですね。
その状況が、情報技術の発展によって一変します。まあ主にインターネットの普及によるものなんだと思いますけど、我々がアクセスできる情報と量は格段に大きくなりました。
最早、我々は自分の好みを周囲に合わせる必要は無く、好みに合うコミュニティや情報にいつでもアクセスし、充足できるようになりました。
個々人がその独自のスタイルを充足できるようになり、それが社会の多数を占めるようになると、社会としての許容度も高くなってきましたよね。最近は茶髪だろうがピアスだろうがそんなに奇異の目で見られることはありません。
私が通っていた大学には亀の甲羅を背負っている人とかいましたけど、普通に過ごしてましたし。
そんな社会の許容度の拡大に伴うライフスタイルの多様化、もっと言ってしまえば人生そのものの多様化によって、世界のトレンドが動かされていることを、本書では正に多様な事例でもって示してくれます。
事例を見ていて面白いのは、このような多様化した小さなトレンドは、互いに反対の内容を示すことすらあるという点です。テクノロジーが嫌いな若者たちもいれば、テクノロジーが大好きな女性もいる。「超」距離通勤の会社員もいれば、在宅ワーカの会社員もいる。それぞれが小さなトレンドなのですね。
モノやサービスを売ろうと考えれば、これはニッチ需要としての好機となるのか、個々のパイが小さいという脅威になるのか、よりしっかりとした判断が必要とされていることになるでしょう。
むしろ、トレンドを追いかけるというアプローチが限界に来ているという理解をした方が良くて、現代ではより抽象度が高い、つまり本質的なニーズを充足すること以外に道はないとすら言えるのかもしれません。
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