フェルミさんの概算アプローチ - 「地頭力を鍛える」
最近は「××力」というコピーを使った書籍が多いですね。やっぱりキャッチーだからでしょうか。
私は比較的簡単に吊られる方なので(ミーハー)、平積の表紙に見つけた「地頭力」や「フェルミ推定」って何じゃいな、と手に取ってみたのでした。
タイトルには「鍛える」とありますが(確かにそういう内容も多少含まれています)、一般に「頭が良い」と言われる人がどのように問題を捉えて解決へのステップを組み立てているのかを解説した本、という感じで、鍛えるための情報はそれほど厚くないかな、という印象です。
本書は、「こうではないか」という仮説をまず立てて(『結論』)、そこへ到達するためのプロセスを設定して(『全体』)、個々の問題を抽象化してシンプルに考える(『単純』)という3つを軸に、問題解決に必要とされる思考力を示してくれます。これらを実践する能力を養うことで、情報が溢れた現代でも活躍出来る「多能人(バーサタイリスト)」になることができる、と本書は説いています。
つまり、私が気になった「地頭力」というのは、この3つの能力を総合したものなのですね。で、それらの能力を使って未知の対象を推測するアプローチの例が「フェルミ推定」になるわけです。
とはいえ、「フェルミ推定」って単純にフェルミさんが得意とした概算のアプローチのことを指していて、何か特殊なステップを踏めば良い、というような所謂「技法」とは違うようです。概算の精度を上げるには、やはり前述の能力を地道に養っていくしか無い模様(つまり鍛える必要があるわけですよ!)。
…となると、「フェルミ推定で今事業における費用対効果をざっくり見積もりました」とか言い出すとちょっと危険かもしれませんね。1桁2桁のブレは幾らでも起こりそうな。
正直ちょっと雲を掴むような読後感だったのですが、筋道立てて物事を考える、そのためにどのように論理を組み立てて行けば良いかを判りやすく説明してくれる本だと思います。惹句にあるように、コンサル企業などで重視されるような思考スキルは、情報過多な現代社会で益々重要になるんでしょうね。
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